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贈与税について

  • 文責:所長 税理士 江口潤
  • 最終更新日:2023年2月14日

1 贈与税の性格

贈与税とは、個人から贈与によって財産を取得した場合に、その取得した財産に課せられる税をいいます。

贈与税法という法律があるわけではなく、贈与税は相続税法の中で規定されています。

なぜ、贈与税が相続税法の中で規定されているかというと、贈与税は相続税を補完する機能を果たしているからです。

すなわち、相続税は相続開始時の財産に対して課税されますが、生前に贈与をすることで相続税の課税を逃れようとすることを、贈与税を課することで防ごうとしているということです。

2 贈与税の計算

贈与税は、一年間の受贈財産額に応じて、受贈者の側に課税されます

現在の基礎控除額は年間110万円となっており、基本的に、これを超えた財産に対して贈与税が課税されます。

贈与税の税率は、直系の卑属に対するものか、それ以外に対するものであるかで異なっていますし、課税財産額が大きければ税率が高くなる累進課税制度が採用されています

基礎控除額を超える財産の贈与を受けた場合には、贈与税額を計算し、翌年の確定申告の時期に申告をする必要があります。

3 相続時精算課税制度

贈与税は、一般的に相続税よりも高い税率が設定されていますし、基礎控除額も低く設定されていますので、納税者の立場からすると、相続税で税金を支払った方が有利な制度となっています。

しかし、高齢化社会の進展によって、高齢者から子どもや孫の世代への財産移転が後にずれ込むことになってしまい、教育などの資金需要がある若年世帯に対する財産移転がスムーズに進まず、資本の有効活用が阻害されているという問題が生じています。

そのため、政策的な観点から、生前贈与を促進することで早期の財産移転を進めることを目的に導入された制度が相続時精算課税制度です。

相続時精算課税制度を利用すれば、2500万円という非課税枠を利用することができ、直系の尊属からの贈与を受けやすくすることができます。

ただし、相続時精算課税制度を利用するためには条件がありますし、一度利用をすると、以後は暦年贈与の制度を利用することができなくなったり、確定申告の必要があったりするなどの注意点もあります。

相続税の節税として使えるというわけでもありませんので、注意が必要です。